家政婦として住み込みで仕事をしていた60代の女性が、長時間労働の末に死亡したのに、労災が認められなかったのは不当だとして、遺族が国を訴えた裁判の判決が29日、東京地方裁判所で言い渡されます。法律では、家政婦は労災の対象外とされていますが、裁判所が労働の実態をどのように判断するかが焦点です。
7年前、当時68歳だった女性は、家政婦と訪問介護ヘルパーとして都内の会社に登録し、寝たきりの高齢者がいる家庭で、1週間住み込みで家事や介護にあたり、勤務を終えた2日後に死亡しました。
女性の夫は、妻がほとんど休みなく業務にあたっていたとして、労災を申請しましたが、家政婦は労災の対象外という理由で認められず、不服として国に対する訴えを起こしました。
労働基準法では、家庭内で働く家政婦は、一般の労働者と働き方が異なるとして、労災の対象外とされていますが、国の通達では、事業者の指揮命令のもと家事を行う場合は労災の対象となるとしています。
裁判では家政婦としての労働が、会社が命じた業務にあたるかどうかが争点となり、遺族側が「会社から派遣され、賃金も介護と家事を区別せず支払われていた。家事も会社が命じた業務だ」と主張した一方、国側は「会社としての業務は介護だけで、家事は利用者の指示のもと行っていた」と主張しました。
判決は29日午後、東京地方裁判所で言い渡される予定で、裁判所が労働の実態をどのように判断するかが焦点です。
-- NHK NEWS WEB