菓子メーカーの「チロルチョコ」は9月、29年ぶりに値上げをしました。会社は商品の固定ファンを増やすことが重要だとして新たな取り組みを始めています。
菓子メーカーの「チロルチョコ」は年間およそ6億個のチョコレートを生産していて、9月、主力商品のチョコレートを税抜き20円から23円に値上げしました。
会社では、ことし7月複数の種類のチョコを自動で包装できる機械を導入して、手作業を減らすなどコスト削減や生産性の向上に取り組んできました。
しかし、原料となる外国産のカカオマスや食用油、それに包み紙や物流費などのコストが上がり、29年ぶりに値上げをしました。
会社では付加価値をつけて30円から40円台でも売れる新しい味のチョコの開発を進めています。
商品開発の会議ではいま在庫がある原材料でどんな新しい味ができるのかアイデアを集めています。
今後、ピスタチオやリンゴの味をいかした試作品をつくっていくことになりました。
また、原材料の選定にもコスト意識を徹底しています。
次の新商品で使うカカオマスを選ぶ会議では、高級感があるものの、値段が高いマダガスカル産のカカオマスを、比較的安く調達できるエクアドル産で代用できないかなど、コストを減らす議論を続けています。
会社は、値上げをしても購入を続けてくれる固定ファンを増やすことが重要だと考えています。
そこで、ことし2月からはSNSを使った配信を始め、マーケティングを担当する社員が新商品の紹介や開発のエピソードなどを話して商品の魅力をアピールしています。
さらに、今月中旬にはファンを集めた初めてのイベントを開催することも予定しています。
松尾裕二社長は「どの程度の値上げ幅であれば受け入れられるのか、夜な夜な計算して決断したが、どれくらい売り上げが減ってしまうんだろうかと非常に怖かった。ただ、社員や会社を守るため値上げは必要な経営判断だったと思う。より付加価値をつけて長くお客様にいいと思ってもらえる商品を提供し続けていきたい」と話しています。
-- NHK NEWS WEB