日銀の短観=企業短期経済観測調査で、企業の5年後の物価の見通しが初めて2%に達したことがわかりました。
短観では、企業の人手不足感が強まっていることも示され、企業が物価の上昇を見込む中、賃上げをどこまで進めるかが焦点になりそうです。
日銀は3か月ごとに行っている短観で、企業に物価の見通しを尋ねていて、全規模・全産業の1年後の物価の見通しは、平均で前の年と比べてプラス2.6%、3年後はプラス2.1%と、いずれも前回3か月前の調査を上回りました。
さらに、5年後については、前回を0.1ポイント上回ってプラス2.0%と、初めて2%台となり、いずれの期間でも日銀が目標としている2%に達しました。
日銀は、今の物価上昇は賃金の上昇を伴っておらず、一時的だとして、金融緩和を続ける姿勢ですが、企業の間では物価上昇が今後も続くという見方が広がっていることがうかがえます。
一方、今回の短観では、人員が「過剰」と答えた企業から「不足」と答えた企業の割合を差し引いた指数が、製造業でマイナス19、非製造業でマイナス34と、いずれも前回からマイナス幅が4ポイント拡大し、企業の人手不足感が強まっていることが示されました。
先行きについても、製造業、非製造業の双方でマイナス幅がさらに拡大する見通しで、世界経済の減速など、景気の先行きに不透明感が広がる中、物価の上昇と人手不足を背景に、企業が賃上げをどこまで進めるかが焦点になりそうです。
-- NHK NEWS WEB