東京オリンピック・パラリンピックのスポンサー契約をめぐる汚職事件で、東京地検特捜部は、出版大手、KADOKAWAの角川歴彦会長が、スポンサー選定で便宜を受けたことへの謝礼などとして大会組織委員会の元理事に総額6900万円の賄賂を渡していたとして贈賄の罪で起訴しました。角川会長は弁護団を通じて会長を辞任する意向を明らかにしたうえで、「裁判では無実を明らかにしていきたい」とするコメントを発表しました。
起訴されたのは出版大手、KADOKAWA会長の角川歴彦被告(79)です。
東京地検特捜部によりますと、角川会長は、東京大会のスポンサー選定などで便宜を受けたことへの謝礼などとして、組織委員会元理事の高橋治之被告(78)に、3年前の9月から去年1月までの間に総額6900万円の賄賂を渡していたとして、贈賄の罪に問われています。
特捜部は先月27日、会長の共犯として、元専務の芳原世幸被告(64)と元担当室長の馬庭教二被告(63)を起訴し、高橋元理事と元理事の知人で会社代表の深見和政被告(73)も受託収賄の罪で起訴しています。
特捜部は、KADOKAWAが2019年に協賛金2億8000万円で組織委員会とスポンサー契約を結んだあと、深見代表の会社にコンサルタント料として支払った総額7600万円を元理事への賄賂と認定し、贈賄側については3年の時効にかからない6900万円を立件の対象にしました。
特捜部は、角川会長が芳原元専務らと共謀し、2018年3月ごろまでの2年間に、▽スポンサー選定のほか▽スポンサー契約の締結を早めることや▽協賛金の額を3億8000万円以内に収めることなどを元理事に依頼していたとしています。
角川会長は、弁護団を通じて会長を辞任する意向を明らかにしたうえで「汚職に関与したことなど一切ありません。裁判では無実であることを明らかにしていきたい」とするコメントを発表しました。
この事件で特捜部は、別の企業のスポンサー契約業務を請け負った広告会社・大広から賄賂を受け取った疑いで高橋元理事と深見代表を先月、再逮捕していて、元理事周辺の資金の流れについて、さらに解明を進めています。
関係者によりますと、高橋元理事は調べに対し、不正を否定しているということです。
-- NHK NEWS WEB