東京電力が、福島第一原子力発電所の事故のあと2か月以上、「炉心溶融」、いわゆるメルトダウンを公表しなかった問題で、追及を続けていた新潟県と東京電力が設けた合同の検証委員会が開かれ、当時、事故対応に当たった社員の半数近くが「炉心溶融に至っている」と推測していたなどとするアンケートの結果が公表されました。
この問題は東京電力が原発事故から5年がたった去年2月になって、当時の社内マニュアルに従えば、事故の3日後に炉心溶融と判断できたことを明らかにしたものです。
24日はこの問題を追及してきた新潟県と東京電力が合同で設けた検証委員会の会合で、東京電力の原子力部門や事故対応に当たった社員へのアンケートの結果が公表されました。
アンケートでは当時の福島第一原発の状況について、当時からいた3639人の社員のうち「炉心溶融に至っている」と推測していたのは1730人と、半数近くに上った一方、マニュアルの炉心溶融の判定基準を知っていたのは179人にとどまったとしています。
「炉心溶融という言葉を使わないよう指示を受けたか」という質問には、59人が「受けた」と回答したことも明らかになりましたが、数も少ないため組織的に隠蔽が行われたとは考えにくいとしています。
またこの問題で官邸からの指示があったかどうかが論点になっていることについて、検証委員会では、当時、会社の中枢として事故対応に関わっていた幹部ら10人に直接聞き取り調査を行っていてその結果も公表されました。
それによりますと「当時の清水社長が広報担当者を呼び出し、官邸の指示で炉心溶融という言葉を使用しないよう指示した」という具体的な証言があったほか、「保安院の誰かが『官邸の指示でこの用語は使わないように』と言っていたのを聞いた」とか、「上層部が、保安院からメルトダウンという言葉を使うなと指示されたと話しているのを聞いていた」という証言も示されました。
今回、当時の清水社長や副社長への聞き取りは行われていないということで、委員会は2人へのヒアリングを行うとともに、当時の官邸関係者にも実施できないか検討していくとしています。
-- NHK NEWS WEB