子どもからお年寄りまでの体力や運動能力を調べる、スポーツ庁の昨年度の調査結果が公表され、10年前に比べて、40代の女性の体力テストの合計点や運動実施率の落ち込みが顕著になっていることが分かりました。専門家は、仕事や育児の中心となる世代で、運動できる環境が整っていない可能性があると分析しています。
全国の6歳から79歳までを対象に、スポーツ庁が毎年行っている「体力・運動能力調査」は、握力や上体起こしなど6項目から8項目の体力テストのほか、運動習慣なども調べていて、昨年度は、およそ4万8000人が対象となりました。
その結果が12日に公表され、体力テストの各項目を数値化して合計した「体力合計点」では、10年前の平成24年度を100%とした場合、多くの年代で、男女ともに横ばいか、向上する結果となりました。
その一方で、
▽40代前半の女性は95.6%、
▽40代後半の女性は95.7%と、
顕著な落ち込みが見られたということです。
さらに、週1日以上の運動の実施率は、女性は20代から50代までのすべての年代で10年前より低下していて、特に40代後半は39.9%と6.9ポイント低くなっています。
調査結果を分析した順天堂大学大学院の内藤久士教授は「40代は働く女性の中心で、子育てもある世代だが、運動やスポーツを行う時間や場所が十分に整っていないと感じている」と話していました。
そのうえで、新型コロナの感染拡大の調査への影響については「数値が上がっているところもあれば、下がっているところもあり、長い期間を見て、どう影響したかを判断すべきだ」と述べ、影響の有無は現段階では判断できないとしました。
スポーツ庁は、自治体や民間企業などと協力して女性がスポーツをしやすい環境の整備を進めるほか、手軽にできる運動プログラムの周知などに取り組んでいく方針です。
-- NHK NEWS WEB