精神科病院での患者に対する虐待を防ぐため、職員などが虐待を受けたとみられる患者を発見した場合に、都道府県などに通報することを義務づけることを盛り込んだ法律の改正案が閣議決定されました。
厚生労働省によりますと、令和元年度までの5年間に全国の自治体が把握した精神科病院内での虐待の疑いがある事案は72件で、このうち病院側からの通報は35件と全体の半数程度にとどまっています。
14日、閣議決定された精神保健福祉法の改正案では、精神科病院での虐待を防ぐため、病院の管理者に職員などへの研修や患者への相談体制を整備することを義務づけています。
そのうえで虐待を受けたとみられる患者を発見した人は、速やかに都道府県などに通報することを義務づけ、通報した職員が解雇などの不利益な取り扱いを受けないことを明確化するとしています。
また、通報を受けた都道府県などが虐待の状況を公表するほか、国が実態調査を行うとしています。
障害者への虐待を巡っては、障害者虐待防止法では福祉施設や会社などには自治体への通報義務を定めていますが、医療機関は対象外で、精神科病院での虐待は早期に把握することが難しいと専門家などが指摘していました。
精神保健福祉法の改正案は、今の臨時国会で成立すれば、再来年4月から施行されるということです。
-- NHK NEWS WEB