イギリスのトラス首相は、経済対策の柱の一つで、法人税の引き上げを凍結するとしていた政策を撤回し、クワーテング財務相を解任したことを明らかにしました。看板政策の相次ぐ撤回に、与党・保守党内でも首相自身の責任を問う声は強く、トラス首相は就任1か月余りで早くも正念場に立たされています。
イギリスのトラス首相は14日会見し、「われわれは財政規律について市場を安心させるため、直ちに行動しなければならない」と述べ、法人税の引き上げを凍結するとしていた経済政策を撤回することを明らかにしました。
そして、クワーテング財務相を解任し、後任にハント元外相をあてるとしました。
トラス政権はイギリス国内のインフレ率が記録的な水準となる中、大型減税によって経済成長を促す政策を掲げていますが、同時に、家庭や企業の光熱費抑制のための財政支援なども行うとしていることから、財政の悪化が懸念されていました。
今月3日には、所得税の最高税率を引き下げるとしていた政策について、富裕層の優遇だという批判も受け、撤回すると発表したばかりでした。
看板政策の相次ぐ撤回に、与党・保守党内でも首相自身の責任を問う声が強まっていますが、会見でトラス首相は「成長をもたらし、イギリスを豊かにするという約束を私はやり遂げる決意だ」と述べ、辞任は否定しました。
大手調査会社「ユーガブ」が11日と12日に行った政党の支持率調査で、保守党は23%と、野党・労働党の51%に大きく離されていて、トラス首相は早くも正念場に立たされています。
-- NHK NEWS WEB