経済政策の相次ぐ撤回などで政権基盤が揺らいでいるイギリスのトラス首相が19日、議会で野党から辞任を求められたのに対し「私は闘う」と述べ、続投への意欲を強調しました。しかし、その直後に主要閣僚の内相が辞任を表明し、トラス政権はさらに厳しい状況に追い込まれています。
イギリスのトラス政権は、国内のインフレ率が記録的な水準となる中、大型減税によって経済成長を促す政策を掲げてきましたが、財政悪化への懸念から市場の混乱を招き、政策を相次いで撤回した上、財務相を解任する事態となりました。
19日、議会下院で与野党の質問を受けたトラス首相は政権運営の責任を問われ「私ははっきりと謝罪し、過ちを認めた。こうした状況ですべきは政策を改め、国民のために尽くすことだ」と応じました。
また、最大野党・労働党のスターマー党首から辞任を求められると「私は闘う。逃げはしない。私は国益のため、経済を安定させるために行動した」と述べ、続投への意欲を強調しました。
しかしこの直後、ブレーバーマン内相が私用のメールアドレスを使って公文書を送った責任をとるとして辞任を表明しました。
ブレーバーマン氏は首相に宛てた手紙を公開し、みずからの責任を認める一方で「政権の行方を懸念している」などと政権への批判を繰り広げ、一部メディアは背景に、首相との間で移民政策をめぐる意見の不一致があったと伝えています。
大手調査会社「ユーガブ」が18日に発表した政権支持率が7%と、調査を始めた2011年以降最低となる中、トラス政権は発足から1か月余りで主要閣僚の財務相と内相が相次いで交代する異常事態となり、さらに厳しい状況に追い込まれています。
-- NHK NEWS WEB