札幌市東区にある納骨堂が、運営する宗教法人の資金不足で差し押さえられたあと競売にかけられ、建物を明け渡すよう裁判所から求められています。
宗教法人は、納骨堂が閉鎖されるとして、契約者に対し、遺骨を引き取るよう呼びかけていて、契約者からは戸惑いや憤りの声や費用の一部の返還を求める声が上がっています。
建物の明け渡しを求められているのは、札幌市東区にある屋内型の納骨堂「御霊堂元町」です。
運営する宗教法人「白鳳寺」などによりますと、納骨堂は10年前の2012年に開業し、市内の葬儀会社などから合わせて2億円以上を借り入れて設置・運営してきました。
しかし、資金不足で借入金の返済が滞ったことから建物と土地を差し押さえられ、競売にかけられた結果、ことし8月、市内の不動産会社が1億円余りで落札しました。
宗教法人は、納骨堂が閉鎖されるとして、770基余りの納骨壇の契約者に対し、遺骨を引き取るよう呼びかけていますが、連絡できていない人もいることなどから、今も多くの遺骨が納められているということです。
宗教法人は現在、事業の継承を目指して建物と土地を落札した不動産会社との間で協議を続けているとしていますが、今後のめどは立っていません。
宗教法人「白鳳寺」の太田司代表は、NHKの取材に対し「このような事態になったことをおわびしたい。雨風や雪をしのげて一年中お参りができる納骨堂なら利用しやすいと考えていたが、契約者の募集が十分にできず、借入金を返済するだけの収入が得られなかった」と話しています。
また、建物と土地を落札した不動産会社の担当者は、建物にある遺骨について、今後、契約者が引き取ることができるよう対応するとしていますが、「宗教法人の負債解消の道筋が立たないと事業の継承は難しい」としています。
不動産会社からの申し立てを受けて、当初、建物の明け渡しに向けた裁判所による強制執行が24日に行われる予定でしたが、宗教法人などからの要望を受け来月21日に延期されました。
-- NHK NEWS WEB