ロシア軍による攻撃で各地でエネルギーのインフラ施設が被害を受けているウクライナでは、国民生活に深刻な影響が出ています。一方、ロシアの独立系メディアは、ロシア国内の刑務所にいた受刑者が、2か月間で2万人以上減ったと伝え、戦闘に勧誘された可能性も出ています。
ウクライナでは、数日前から各地で気温が一層下がり、20日の首都キーウの最低気温はマイナス5度と、この冬1番の冷え込みになっています。
ウクライナのゼレンスキー大統領は19日、ロシア軍は、電力だけでなくガスの関連施設への攻撃も強めているとしたうえで、これまでにエネルギーのインフラ施設のおよそ半分が被害を受けたことを明らかにしました。
各地の電力供給に深刻な影響が出ていて、ウクライナのエネルギー省は、19日、各家庭にエネルギーの消費を少なくとも25%削減するよう求めました。
ロシア軍は、ウクライナへの攻撃を続けていて、ウクライナ軍参謀本部は20日、ロシア軍が東部ドネツク州にあるウクライナ側の拠点の1つ、バフムトやアウディーイウカなどを集中的に攻撃していると指摘しています。
そのうえで、「ロシア軍は、南部の拠点ヘルソンから撤退したあと、東部のドネツク州とルハンシク州での戦闘を続けるために、一部の部隊を再配置しようとしている」と指摘し、東部を中心に戦闘が激しくなることが懸念されます。
こうした中、ロシア独立系メディアは18日、ロシアの受刑者の数が、2か月間で2万3000人以上、減ったとする調査結果を伝えました。
ロシア当局のデータをもとにしているとして、刑務所にいた受刑者の数は、9月にはおよそ34万8000人だったのに対し、11月上旬には、32万5000人ほどに減ったとしています。
ロシアの民間軍事会社「ワグネル」が、受刑者を兵士として勧誘していると伝えられた時期と重なるとして、実際に勧誘された可能性が高いと指摘しました。
受刑者をめぐっては、「ワグネル」の代表で、プーチン政権に近いとみられるプリゴジン氏とされる人物が、ロシア国内の刑務所を訪れ、受刑者を前に「半年間戦えば、特赦を受けられる」などと述べて、勧誘しているとする映像が、ことし9月にSNSに投稿されていました。
-- NHK NEWS WEB