大手電機メーカーの東芝は1兆円以上の資金の調達を目指して主力の半導体事業を分社化し、株式を売却する交渉を29日から本格化させます。また、巨額の損失の原因となったアメリカの原子力事業の子会社、ウェスチングハウスは、近く、日本の民事再生法にあたる連邦破産法11条の適用の申請を行う見通しで、巨額の損失を処理して経営再建を目指す動きは山場を迎えます。
東芝は、経営の立て直しにあたって必要な資金を工面するため、記憶用の半導体「フラッシュメモリー」の事業を分社化し、この新会社の株式の過半数を売却する計画で、最初の入札の受け付けを29日、締め切ることにしています。
関係者によりますと、新会社の買収には海外の投資ファンドのほか、アメリカの精密機器メーカー「ウエスタンデジタル」、韓国の半導体大手「SKハイニックス」、台湾の大手電子機器メーカー「ホンハイ精密工業」、台湾の半導体大手の「TSMC」などが意欲を見せています。
これに対して、世耕経済産業大臣は先週、新会社の株式を外国の企業に売却する場合は、先端技術の流出を防ぐ観点から政府が審査する考えを示しています。
また、新会社の売却を通じて、東芝側が必要としている1兆円以上の巨額の資金は1社で賄うことは難しく、複数の企業が連合を組む方向ですが、技術の流出を防ぎながらの売却交渉は曲折も予想されます。
一方、巨額の損失の原因となったアメリカの原子力事業の子会社、ウェスチングハウスは、近く、日本の民事再生法にあたる連邦破産法11条の適用をアメリカの裁判所に申請する方向で調整しています。
適用されれば、ウェスチングハウスは裁判所に管理され、東芝の決算からは切り離されるため、東芝の財務内容は悪化するものの、将来の損失拡大を防ぐことができるとしています。
東芝は半導体事業の売却を進めながら巨額の損失を処理していくことになり、経営再建を目指す動きは山場を迎えます。
-- NHK NEWS WEB