ロシアによる軍事侵攻が続くウクライナでは、インフラ施設への攻撃に伴う深刻な電力不足で、市民生活への影響が続いています。
一方、南部ヘルソン州では、ウクライナ軍のさらなる反転攻勢に対応しようとロシア側が防衛陣地を築いている動きが伝えられ、南部のクリミアに隣接する地域の支配にこだわるロシアの姿勢がうかがえます。
ウクライナではロシア軍によるインフラ施設への攻撃で深刻な電力不足が続いていて、国営の電力会社「ウクルエネルゴ」は28日、各地で緊急停電を実施したと発表しました。
こうした中、大規模な停電の際に住民が一時的に身を寄せる非常用テントの設置が各地で進んでいて、首都キーウでは、当局者によりますと、28日の時点で400か所以上に設置されたということです。
NATO=北大西洋条約機構のストルテンベルグ事務総長は28日、記者会見で「ロシアのプーチン大統領は電力システムやガスのインフラなどウクライナの人々にとって基本的なサービスを破壊し、冬そのものを兵器として戦争に利用しようとしている」と非難しました。
一方、ウクライナ南部では、ロシア軍が今月、要衝ヘルソンから部隊を撤退させたあと、ウクライナ側のさらなる反転攻勢に備えているとみられています。
アメリカのシンクタンク「戦争研究所」は27日、ロシア側が、予備役から動員した兵士も投入しながら、ヘルソン州のドニプロ川の東岸地域に大規模な防衛陣地を築いていると指摘しました。
その背景として「ロシア軍は、ウクライナ軍がドニプロ川を渡ってヘルソン州の東部で反撃作戦を展開し、クリミアにつながる重要な陸路を脅かす可能性があるとみている」と分析しています。
ロシアが8年前に一方的に併合したクリミアに隣接する地域の支配にこだわるプーチン政権の姿勢がうかがえ「戦争研究所」は「防衛陣地のよしあしにかかわらず、今後の行方を占ううえで、極めて重要であることを浮き彫りにしている」という見方を示しました。
-- NHK NEWS WEB