事業者向けの電力の販売をめぐり中国電力と中部電力、九州電力など大手電力会社がカルテルを結んでいたとして、公正取引委員会が総額で1000億円余りの課徴金を命じる方針を固めたことが関係者への取材でわかりました。課徴金としては、過去最高額になる見通しです。
中国電力と中部電力、九州電力、それに関西電力は、▽大規模な工場やオフィスビル向けの「特別高圧」や▽中小規模の工場や事業所向けの「高圧」の電力について、互いの営業エリアで顧客を獲得しないよう申し合わせるなど、カルテルを結んでいた疑いがあるとして、公正取引委員会が去年4月から7月にかけて立ち入り検査に入り、調べを進めていました。
関係者によりますと、こうした申し合わせは会社間で協議のうえ、2018年ごろから行われていたとみられ、競争を不当に制限する独占禁止法違反にあたると判断したということです。
そして、▽中国電力と▽中部電力、その販売子会社、それに▽九州電力の4社に対し、総額で1000億円余りの課徴金の納付を命じる方針を固め各社に通知したということです。
課徴金としては、過去最高額になる見通しで、各社の意見を聞いて最終的な処分を決めることにしています。
一方、関西電力は、調査が始まる前に違反行為を最初に自主申告したため、「課徴金減免制度」により、課徴金は免除されるものとみられます。
電力の小売り市場は、2016年に全面自由化されたことで各地の大手電力会社がほぼ独占する構図が変わり、異業種からの新規参入も相次いで競争が激しくなっていて、公正取引委員会は、各社の収益確保や電気料金の引き下げを防ぐ狙いがあったとみています。
中国電力と中部電力、九州電力は「関係者の皆さまにご心配をおかけし、おわび申し上げます。公正取引委員会から説明を受けたうえで、今後、慎重に対応していきたい」などとコメントしています。
また関西電力は「立ち入り検査を受けたことを厳粛に受け止め、調査に全面的に協力している」としています。
-- NHK NEWS WEB