65歳から74歳までの前期高齢者の医療費をめぐり、厚生労働省は、現役世代からの支援制度を見直し、大企業の従業員などが加入する健康保険組合の負担を増やす一方、中小企業の従業員が加入する「協会けんぽ」の負担を減らす方針を示しました。
政府は、全世代型社会保障制度の実現に向けた一環として、65歳から74歳までの前期高齢者の医療費に対する現役世代からの支援制度の見直しを進めていて、1日に開かれた社会保障審議会医療保険部会で厚生労働省の改革案が示されました。
それによりますと、これまでの制度では、健康保険組合などに対し、前期高齢者が加入している割合に応じて納付金の支払いを求めていましたが、2024年度からは、加入者の収入額も反映させるとしています。
厚生労働省は収入額を反映させる割合ごとに3種類の試算を公表しました。
▽割合を2分の1にしたケースでは、健康保険組合全体で890億円負担が増える一方、中小企業の従業員などが加入する医療保険「協会けんぽ」は、1450億円負担が減るとしています。
▽割合を減らして3分の1にした場合は、健康保険組合は600億円の負担増、「協会けんぽ」は970億円の負担減。
▽4分の1にした場合は、健康保険組合は450億円の負担増、「協会けんぽ」は730億円の負担減となっています。
出席した委員からは「収入額を反映させる割合は最小限にすべきだ」という指摘のほか、「現役世代の負担を軽減させる制度にしてほしい」という意見が出されました。
加入者の収入が多い組合は、保険料の引き上げにつながる可能性もあることから、厚生労働省は、従業員の賃上げに取り組む企業に対する支援なども検討することにしています。
-- NHK NEWS WEB