TPP協定の国会承認を求める議案などを審議している参議院の特別委員会は、中央公聴会を開きました。アメリカのトランプ次期大統領が、TPP協定からの離脱を表明する考えを示したことをめぐり、公述人からは、「日本の成長戦略の要であり、まずはほかの参加国で国内手続きを進めるべきだ」という意見が出された一方、「国会承認するための合理的な理由はなくなった」として、審議をやめるべきだという指摘が出されました。
この中で、アメリカのトランプ次期大統領が、就任初日に、TPP=環太平洋パートナーシップ協定からの離脱を表明する考えを示したことをめぐり、自民党と公明党が推薦した経団連の根本勝則常務理事は、「TPP協定は、人口減少に直面する日本を持続的な成長軌道に乗せるために不可欠で、成長戦略の要だ。トランプ氏の発言は残念だが、まずは、参加各国が国内手続きを進めていくことが、将来への道筋を開くうえで重要だ」と述べました。
民進党が推薦したNPO法人、アジア太平洋資料センターの内田聖子代表理事は、「トランプ氏の発言などを受けて、TPPを承認する合理的な理由はなくなった。TPPを柱と位置づける日本の成長戦略は練り直さなければならない。アメリカの出方を見ながら静観すべきで、国会審議をやめるべきだ」と述べました。
共産党が推薦した横浜国立大学の萩原伸次郎名誉教授は、「アメリカが承認しなければ協定は発効せず、国会で審議する意義は崩壊している。かつては、自由貿易の促進で雇用などを増やしたが、現在、企業は国境を越えて利潤を追求しており、自国の雇用増大にはつながらない」と述べました。
公募で選ばれた医師の住江憲勇氏は、「アメリカ大統領選挙の結果などの情勢の変化や、協定内容に対する十分な情報開示を求める声があったにもかかわらず、衆議院で採決を強行したことは認められない。徹底的に審議すべきで、承認は許されない」と述べました。
-- NHK NEWS WEB