日銀の短観=企業短期経済観測調査で、企業の人手不足感が一段と強まっていることが示されました。世界経済の減速など景気の先行きに不透明感が広がる中、物価上昇や人手不足を背景に企業が来年の春闘でどこまで賃上げを進めるかが焦点になります。
日銀は3か月ごとに行っている短観で従業員の数が「過剰」か「不足」かを尋ねて指数化していて、マイナスが大きくなるほど人手不足だと感じる企業が多いことを示します。
今回の短観では、この指数が製造業でマイナス20と前回からマイナス幅が1ポイント拡大し、非製造業ではマイナス38と4ポイント拡大しました。
先行きについても製造業、非製造業の双方でマイナス幅がさらに拡大する見通しで、企業の人手不足感が一段と強まっていることがうかがえます。
また、今回の短観では▽企業の1年後の物価の見通しが平均で前の年と比べてプラス2.7%、▽3年後がプラス2.2%と、いずれも前回を上回り、▽5年後についてもプラス2.0%と、いずれの期間でも日銀が目標としている2%に達しています。
こうした物価上昇や人手不足を背景に来年の春闘で賃上げに踏み切る方針を明らかにする企業も出てきています。
ただ、原材料価格の高騰による仕入れコストの上昇に加え、中国やアメリカなど、海外経済の減速への懸念が強まっていて、景気の先行きに不透明感が広がる中、来年の春闘で企業がどこまで賃上げを進めるかが焦点になります。
-- NHK NEWS WEB