皮膚がんの一種の患者に対して、アメリカの製薬会社「モデルナ」が開発中のワクチンを、別のがん治療薬と同時に投与する臨床試験を行ったところ、死亡や再発のリスクを44%低下させる効果が確認できたと発表しました。
臨床試験の結果はアメリカの製薬会社「モデルナ」と「メルク」が13日、発表しました。
それによりますと、メラノーマ=悪性黒色腫という皮膚のがんが進行し、手術で切除した患者を対象に「メッセンジャーRNAワクチン」という技術で作られたがん細胞に対する免疫を刺激するワクチンと、免疫を活性化させてがん細胞を攻撃させるタイプの治療薬をあわせて投与したところ、薬だけの場合と比べ死亡や再発のリスクがおよそ44%低下したということです。
健康への影響については、ワクチンと治療薬をあわせて投与された人の14.4%に、治療薬だけを使った人の10%に重い有害事象がみられたとしています。
このワクチンはそれぞれの患者のがんの遺伝情報にあわせて作られていて、最大で34のがんの細胞の種類を免疫細胞に伝えて、がん細胞への攻撃を促します。
モデルナのバンセルCEOは「mRNAワクチンのがんへの効果が初めて実証された。今後、ほかのがんについても追加試験を開始し、個別化されたがん治療を提供することを目指す」とコメントしていて、来年にも最終段階の臨床試験を開始するとしています。
-- NHK NEWS WEB