4年前、職場で倒れているのが見つかり、その後、死亡した三重大学の医師について、残業時間はいわゆる「過労死ライン」には達していなかったものの、宿直勤務などで十分な休憩や睡眠時間の確保が難しかったとして、労災と認定されていたことが分かりました。
これは、遺族の代理人を務める弁護士が28日に津市で記者会見して明らかにしました。
それによりますと、三重大学に研究者として勤務していた当時44歳の男性医師は、4年前の2月に大学構内の研究室で倒れているのが見つかり、翌日になって死亡しました。
津労働基準監督署は当初、医師が亡くなる2か月前から6か月前の1か月の平均残業時間が「過労死ライン」とされる80時間を超えていなかったなどとして、労災と認定していませんでした。
その後、決定を不服とした遺族の請求を受けて改めて検討を行った労働保険審査会は、医師は通常業務の研究のほか、大学の付属病院で宿直勤務を行うなど十分な休憩や睡眠時間の確保が難しかったなどとして、ことし3月、労基署の判断を取り消し、一転して労災が認められたということです。
厚生労働省は去年9月、「過労死ライン」に達しなくてもそれに近い実態があり、不規則な勤務などが認められれば労災と認定するよう基準を見直していて、弁護士は「今回の判断に影響したとみられる」としています。
-- NHK NEWS WEB