ロシアが侵攻するウクライナでは、東部ドンバス地域の拠点で戦闘が行われ、年の瀬に入っても、東部での主導権を握るため双方が一進一退の攻防を続けているとみられます。
ウクライナ軍は29日午前、ロシアによるミサイルなどが各地に飛来しているとして、国民に対し、安全な場所に避難するよう呼びかけています。
ウクライナ軍のザルジニー総司令官はSNSに「けさ、侵略者はわれわれのエネルギーのインフラ施設に向けて空と海から巡航ミサイルを69発、発射し、このうち54発を迎撃した」と投稿しました。
NHKの取材班がいる首都キーウ市内のホテルでも爆発音のような音が断続的に聞こえました。ウクライナでは29日、朝から全土に防空警報が出されています。
また、ロシア軍は東部ドンバス地域の掌握をねらい攻撃を続けていて、このうちドネツク州でウクライナ側の拠点の一つ、バフムトをめぐり、軍の部隊に加え民間軍事会社のワグネルの戦闘員も投入し激しい攻撃を仕掛けています。
これに対しウクライナ側は徹底抗戦し、今月20日、ゼレンスキー大統領がバフムトを訪問したほか、28日までに国防省の情報総局トップ、ブダノフ局長もバフムトを視察したことをSNSで明らかにしました。
アメリカのシンクタンク「戦争研究所」は28日、バフムトではロシア側の進軍が停滞し、ウクライナの高官が次々と訪問しているとして、ロシアの攻勢は山を越え作戦の一時停止などが余儀なくされる可能性があるとする分析を示しました。
そして「バフムトでロシア側が重要な進展をもたらす可能性は非常に低い」と指摘しています。
一方、ドンバス地域の奪還を目指すウクライナ軍はもう1つの州、東部ルハンシク州で、ロシアに支配され補給の拠点となっている要衝クレミンナの解放に向けて攻勢を強めています。
これに対し、イギリス国防省は28日、ロシア軍がクレミンナ周辺での軍備を増強していると指摘しました。
また、シンクタンク「戦争研究所」も「ロシア軍は南部ヘルソン州で活動していた空てい部隊をルハンシク州に再配備したようだ」として、精鋭部隊を展開させたとしています。
年の瀬に入ってもロシアとウクライナは、東部ドンバス地域での主導権を握るため一進一退の攻防を続けているとみられます。
-- NHK NEWS WEB