フィリピンの最高裁判所は、南シナ海の石油をめぐって、かつて中国などとの間で結ばれた共同探査の協定は、憲法違反だったとする判決を出しました。共同探査をめぐっては今月、マルコス大統領が、中国との交渉再開に向け協議を続ける意向を示したばかりで、今後の協議に影響する可能性があります。
フィリピンと中国、それにベトナムの3か国は、領有権をめぐって争う南シナ海の南沙諸島、英語名スプラトリー諸島の周辺海域で、3か国の国営企業が、石油の共同探査を行う協定を2005年に結びました。
協定は2008年に失効していますが、フィリピンの野党議員の一部は、自国の排他的経済水域が大半を占めていて、憲法違反だと裁判所に訴えていました。
この訴えについて、フィリピンの最高裁判所は10日、憲法では外国資本によるフィリピンの天然資源の探査を認めていないと指摘し、議員らの訴えを認め、協定は憲法違反だったとする判決を出しました。
南シナ海での共同資源探査をめぐっては今月、中国の習近平国家主席が「石油や天然ガスの開発に向けた交渉を再開し、争いのない海域で協力を進めていく」と表明し、マルコス大統領も、交渉再開に向け協議を続ける意向を示したばかりでした。
判決によってフィリピン側は、自国の排他的経済水域だとする地域での共同探査について制約を受けることになり、今後の中国との協議に影響する可能性があります。
-- NHK NEWS WEB