去年の介護事業者の倒産は143件と、これまでで最も多かった3年前を上回り過去最多となったことがわかりました。大半が小規模な事業者で、介護サービスの利用控えや物価高騰などで経営が悪化したとみられ、統計をまとめた信用調査会社は「今後も増えるおそれがある」としています。
東京商工リサーチによりますと、去年1年間に倒産した介護事業者は全国であわせて143件で、前の年の81件の1.7倍に増えました。
3年前の118件を25件上回って、2000年に始まった調査で最も多くなり、負債総額も過去最多の221億3800万円に上ったということです。
内訳はデイサービスなどの「通所・短期入所」が69件と最も多く、各地でデイサービスを展開していたグループ企業の連鎖倒産もあったということです。
そのほか「訪問介護」が50件、「有料老人ホーム」が12件、「その他」が12件となっています。
また従業員10人未満の小規模な事業者の倒産が8割を超え、感染が拡大した時期の介護サービスの利用控えによる減収、食材などの物価や光熱費、燃料費の高騰の影響がのしかかり、経営悪化が進んだとしています。
東京商工リサーチは「介護現場ではヘルパーなどが不足して人材獲得競争も激化していて、今後も利用控えや物価高が続けば、小規模事業者を中心に倒産が一段と加速し、必要なサービスを受けられない人が増えるおそれがある」と指摘しています。
-- NHK NEWS WEB