小中学校の給食に出されているパンについて、製造会社が原材料や光熱費の値上がりで採算が合わず、人手も足りないとして、宮崎県内の2つの市では先月から提供できなくなっていることが分かりました。県学校給食会によりますと、代わりの業者は見つかっておらず再開できる見通しは立っていないということです。
宮崎県日南市と串間市にある公立の小中学校合わせて35校では、給食で週に2日程度パンが出され、委託を受けた地元のパン製造会社が一日当たりおよそ6000個を納入していました。
しかし、この会社から先月20日に、パンを提供できなくなったと県学校給食会などに連絡があったということです。
このため、2つの市ではすべての小中学校の給食の献立からパンをなくしてごはんに変更するなどの対応を取り、保護者に対して説明を行ったということです。パンの製造会社によりますと、原料となる小麦やマーガリンなどの価格が値上がりしたほか、光熱費や各学校への配送のためのガソリン代の価格も上がって採算が合わなくなっていたということです。
さらに先月には従業員10人のうち半数が離職しました。
会社では新しい従業員を募集しようと思いましたが、パートの時給は最低賃金に近い金額しか払うことができず、長時間の勤務であることから人手の確保は難しいと考えパンの提供を断念しました。
市販のパンの製造は続けていくということで、会社の社長は「物価高騰、人手不足の中、子どもたちにパンを届けようとこれまでなんとか頑張ってきましたが、これ以上は厳しかったです。ご迷惑をおかけします」と話しています。
宮崎県学校給食会によりますと、代わりの業者は見つかっておらず、パンの提供を再開できる見通しは立っていません。
また、物価上昇によるコスト増加で、給食用のパンを製造するほかの会社でも苦しい経営となっているということです。
-- NHK NEWS WEB