東芝の子会社のウェスチングハウスに原子力発電所2基の建設を発注したアメリカの大手電力会社、サザン電力のトーマス・ファニングCEOは30日、NHKのインタビューに応じ、アメリカの原子力事業から撤退する方針の東芝に対し原子力発電所の完成に道義的に責任を果たすよう求めました。
この中で、東芝と今後の方針について協議するために日本を訪れたというサザン電力のトーマス・ファニングCEOは「アメリカで建設中の原発を完成させたい。今、ウェスチングハウスに求めているのは工事を続行することであり、東芝に求めているのは原発の完成に向けて資金、運営、それに道義的な責任を果たすことだ。2つの会社との関係は契約だけでは語れない。東芝にはウェスチングハウスに起きた問題の解決に向けて建設的に協力してほしい」と述べました。
サザン電力は、アメリカ南部全域で子会社を通じて900万の企業と家庭に電力とガスを供給している大手電力会社で、アメリカでおよそ30年ぶりとなる原発の運営に必要な承認を国から得て、2008年にウェスチングハウスに建設を発注しました。
ファニングCEOは、南部ジョージア州で建設中のボーグル原発3号機と4号機について予定どおり2019年と2020年の運転開始を目指しているとしたうえで、「今後30日間は雇用の維持と工期の進ちょくに必要な資金を電力会社側が賄うことでウェスチングハウスと合意した。東芝も工期とコストの再評価にかかわることになる」と述べて、東芝も一定の役割を果たすという見方を示しました。
一方、ファニングCEOは先月の日米首脳会談で両国の経済協力の重要性が確認されたと指摘したうえで、「私はペリーエネルギー長官やロス商務長官と良好な関係にある。今回のウェスチングハウスの問題はアメリカの閣僚レベルでも高い関心を持たれている」と述べました。
さらにファニングCEOは「原発の建設現場では5000人から6000人の作業員が働いていて、周辺では3万人を何らかの形で雇用している。また、原発の完成は安全保障の側面もある。ウェスチングハウスの役割はエネルギーだけでなく国防という意味でも重要だ」と述べました。
-- NHK NEWS WEB