体のさまざまな組織の細胞に変化するとされる「Muse細胞」と呼ばれる特殊な細胞を使って心筋梗塞などの治療を目指す治験を進めていた大手化学メーカーが、治療法の開発を中止したと発表しました。この細胞を発見した東北大学などのグループは、別の企業に治験への参加を呼びかけるなどして、実用化を目指したいとしています。
「Muse細胞」は、東北大学の出澤真理教授らが発見した体のさまざまな組織の細胞に変化する能力があるとされる特殊な細胞で、点滴で投与することで傷ついた組織に集まり、修復する働きがあるとされています。
「Muse細胞」を心筋梗塞や脳梗塞などの患者に投与する治療法について、大手化学メーカー「三菱ケミカルグループ」の関連会社は2018年から治験を進めてきましたが、会社は14日事業化するのに時間がかかるなどとして開発を中止し、治療法としての承認申請を断念すると発表しました。
一方で承認申請はしないものの、現在進めている治験については最後まで実施して、データを解析した結果を公表するとしています。
出澤教授は14日、東京都内で開いた記者会見で、「開発中止を突然知らされとても困惑している。きちんと対応できるパートナーを見つけたい」と述べ、別の企業に治験への参加を呼びかけるなどして、実用化を目指す考えを示しました。
-- NHK NEWS WEB