政府系金融機関の「商工中金」の民営化に向けた経済産業省の案が明らかになりました。
政府が保有する株式はすべて売却するものの、コロナ禍などで行った国の資金をもとに中小企業に融資する業務は維持するなど、政府による関与を残す方針です。
政府は2006年に商工中金の完全民営化の方針を決めていましたが、リーマンショックや東日本大震災でたびたび延期され、2016年に、資金繰りが悪化した中小企業への貸し付けで申請書類の改ざんなど5500件余りの不正が発覚しました。
経済産業省はその後の経営改革の進展も踏まえ、去年12月から有識者会議などで民営化に向けた検討を行ってきましたが、その報告書案が明らかになりました。
それによりますと半官半民の弊害をなくすため、政府が保有する46%余りの株式は、関連する法律の改正から2年以内に全国の中小企業や商工会議所などに売却し、民営化するとしています。
民営化後は融資先の販路拡大を後押しする企業を子会社にできるようにするなど、ほかの金融機関と同じ程度まで業務拡大を認めることにしています。
さらに国の認可が必要だった代表取締役の選任を届け出制に変更するとしていますが、コロナ禍などで行った国の資金をもとに中小企業に貸し付ける「危機対応融資」の機能は維持するなど、政府による関与を一定程度、残す方針です。
この報告書案は、17日開かれる有識者会議でまとめられる見通しです。
-- NHK NEWS WEB