東京オリンピック・パラリンピックの運営業務をめぐる談合事件で、逮捕された大会組織委員会の元次長が、入札に参加する予定の企業の一覧表を上司に示した際、「電通が多すぎる」と指摘されていたことが関係者への取材で分かりました。その後、一覧表は、電通をほかの企業の下請けに回すなどして更新されたということで、東京地検特捜部は、電通の落札件数が突出しないことも考慮して受注調整が行われたとみて調べているものとみられます。
東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の大会運営局の元次長森泰夫容疑者(55)や、電通の元幹部で、スポーツ事業局のマネージング・ディレクターなどを務めた逸見晃治容疑者(55)ら4人は、
▽各競技のテスト大会の計画立案業務の入札や、
▽本大会の運営業務など、
総額400億円規模の事業を対象に、不正な受注調整を行っていたとして、独占禁止法違反の疑いで東京地検特捜部に逮捕されました。
森元次長と逸見元幹部らは、2018年に実施されたテスト大会の計画立案業務の26件の入札について、競技ごとの実績などをもとに、参加する予定の企業の一覧表を作成していたことが分かっていますが、元次長が入札の前に、一覧表を当時の上司に示した際、「電通が多すぎる」と指摘されていたことが関係者への取材で新たに分かりました。
その後、一覧表は、一部の競技について、電通をほかの企業の下請けに回すなどして、更新されたということです。
電通は当時、社内に組織委員会を支援するチームを立ち上げるなどして、発注者側と一体となって発注業務を取りしきっていたとみられています。
東京地検特捜部は、指摘のあと、電通の落札件数が突出しないことも考慮して受注調整が行われたとみて、組織委員会内部の意思決定の経緯も含め、解明を進めているものとみられます。
-- NHK NEWS WEB