ことしの春闘では国内の従業員の7割が働く中小企業の動向が焦点の一つとなっていますが、民間の調査で、中小企業の80%が賃上げを行うと回答し、このうち、基本給を引き上げる「ベースアップ」の実施予定はおよそ半数となっています。
調査は全国の企業を対象にインターネットで行われ、このうち資本金1億円未満の中小企業は3653社から回答がありました。
それによりますと、中小企業で来年度、賃上げを行うと答えたのは80%でした。
賃上げを行うとした中小企業に内容を聞いたところ、定期昇給が76%、ベースアップが49%、一時金の増額が36%でした。
去年の同じ時期の調査では賃上げを行うとしたのが70%、このうちベースアップをすると答えた割合は32%で、ことしはいずれも上回っています。
賃上げを行うとした中小企業に賃上げ率を尋ねると、5%以上としたのが29%で、去年の同じ時期の調査の8%から大きく伸び、2%から5%が61%、2%未満が9%でした。
一方、賃上げを実施しないという中小企業に理由を複数回答で尋ねたところ、
「原材料価格の高騰」とか「コストの増加を十分、価格転嫁できていない」といった回答が多くなりました。
ことしの春闘では、連合が5%程度の賃上げを掲げ、各労組も高い水準を要求する中、大企業では大幅な賃上げの動きが相次いでいて、従業員の7割が働く中小企業への広がりが焦点の一つとなっています。
調査を行った東京商工リサーチは「去年に比べて賃上げの機運は高まっているが、急速な物価上昇の中で従業員の生活を守る意味も強く、業績回復による本来の賃上げとは言いづらい。中小企業にとって賃上げは負担が大きく、価格転嫁や生産性向上の支援も必要だ」としています。
-- NHK NEWS WEB