企業に義務づけられる障害者の雇用率の引き上げを背景に、障害者の職場や働き方が多様化する一方、雇用率の達成が目的化することも懸念されるとして、支援団体や有識者などが新たに研究会を設け、望ましい在り方や課題について検討していくことになりました。
国は企業に対し、従業員に占める障害者の割合を一定以上にするよう義務づけていて、この割合は引き上げが続き、今の2.3%から、3年後には2.7%になる予定で、障害者の職場や働き方が多様化しています。
こうした中、支援団体や社会福祉法人、有識者などが、障害者雇用の望ましい在り方や課題について検討していくための新たな研究会を設けました。
研究会では、このところ増えている農園での雇用を1つのテーマとし、企業が対価を支払って障害者の紹介を受けるとともに、貸し農園や運営方法を提供してもらうケースなどについても検討するとしています。
農園での雇用は、自然の中で体を使ってさまざまな作業ができ、関係する企業などからは、やりがいにつながり、知的障害者なども含め、雇用の場が広がるという声が出ています。
一方、一人一人の事情や能力を踏まえた対応ができるのかとか、雇用率の達成が目的化しないかといった懸念も出ていて、去年、障害者雇用の関連法が成立した際には、こうした懸念を背景とした附帯決議が採択されました。
研究会では、厚生労働省や農林水産省の協力も得て、関係する企業への聞き取りや現場の視察などを1年間かけて行い、提言をまとめたいとしています。
-- NHK NEWS WEB