5年前、大阪で聴覚障害のある女の子が亡くなった交通事故をめぐって、遺族が賠償を求めた裁判の判決が27日、言い渡されます。女の子が将来得るはずだった収入の見込みを「労働者全体の平均賃金」とその6割にとどまる「聴覚障害者の平均賃金」のどちらで算出すべきか判断が注目されています。
平成30年、大阪・生野区でショベルカーが歩道に突っ込み、聴覚支援学校に通う井出安優香さん(当時11)が亡くなり、遺族が運転手と勤務先の会社に損害賠償を求める訴えを、大阪地方裁判所に起こしていました。
裁判では、安優香さんが将来得るはずだった収入の見込みにあたる「逸失利益」をどう算出するかが争われています。
被告側の運転手と会社は当初、「聴覚障害者は就職自体難しい」として、将来の収入の見込みは女性労働者の平均賃金の4割だと主張しました。
その後、この主張は撤回した上で、労働者全体の平均の6割にあたる聴覚障害者の平均賃金をもとに算出するよう求めています。
これに対し遺族側は、「聴覚障害者の平均賃金は障害者の活躍が制限されてきた中で形成されたもので、近年は社会の意識の変化や技術の進歩によって多くの障害者が生き生きと働いている」と主張し、労働者全体の平均賃金をもとに算出するよう求めています。
判決は午後2時から言い渡され、裁判所が障害のある子どもの収入の見込みをどう判断するか注目されています。
-- NHK NEWS WEB