アメリカのトランプ大統領は、貿易相手国の不公正な貿易慣行を調べるよう商務省などに求めるとした大統領令に署名しました。この報告を踏まえ、制裁の強化などを検討する方針で、とりわけ貿易赤字の半分近くを占める中国に対して圧力をかける姿勢を鮮明にしました。
アメリカのトランプ大統領は31日、ホワイトハウスで、商務省と通商代表部に対して、中国や日本など貿易相手国の不公正な貿易慣行がないか調べて90日以内に報告するよう求めるとした大統領令に署名しました。
この報告を踏まえ制裁の強化などを検討する方針で、とりわけ貿易赤字の半分近くを占める中国に対して圧力をかける姿勢を鮮明にしました。
署名に先立って、トランプ大統領は来週の米中首脳会談を踏まえ、「これまでアメリカの企業や雇用はひどい状況だったが、われわれはこれを変えようとしている。時間をかけるつもりはない」と述べました。また、これに関連してロス商務長官は30日、「アメリカは先進国の中でも、最も関税が低く、貿易障壁も少ない。自由貿易の重要性を訴えている国でも、実際にはアメリカよりもはるかに保護主義的だ」と述べて、アメリカの通商政策を批判する動きをけん制しました。
一方、今月中旬に予定されている日米の経済対話でも、アメリカ側は貿易赤字の削減に向けて農産物の高い関税や自動車の非関税障壁の見直しなど厳しい要求を突きつけてくることも予想されます。
日本政府の関係者は「日本はアメリカへの直接投資で現地の雇用に貢献している。また、すでに日本の関税の水準は低く非関税措置も少ない。日本は公正なルールに基づいた貿易を行っているので、今回の大統領令に対して冷静に対処していく」としています。
-- NHK NEWS WEB