細胞移植などの再生医療を実施する際には、民間の医療機関で自由診療として行う場合でも、計画を専門の委員会で審査することが法律で求められています。この委員会について、医療機関と審査を行う委員会の両方に医療コンサルティング会社が関わっているとみられるケースもあるなど、独立で公正な審査を期待できないおそれがあるなどとする調査結果を、国立がん研究センターなどのグループが発表しました。
調査は、厚生労働省の委託を受けて国立がん研究センターや京都大学iPS細胞研究所などの生命倫理の研究者や医師のグループが行いました。
国際的な科学雑誌「ステムセル・リポーツ」に発表した論文によりますと、グループが2019年の時点で審査が終わっていたおよそ400件の治療計画を分析した結果、
▽安全性の裏付けとなる論文が十分示されていないなどのケースが25.1%、
▽専門分野ではない医師が治療を担当していると推定されるケースが30.0%あったということです。
また、医療コンサルティング会社が審査を行う委員会の運営と審査を受ける医療機関の治療計画作成の両方に関わったとみられるケースもあり、独立で公正な審査を期待できないおそれがあるなどとしています。
国立がん研究センターの一家綱邦生命倫理部長は「独立性、公正さを維持できるよう、審査する委員会の根本的な在り方を見直すことが大事だ」と話しています。
-- NHK NEWS WEB