太平洋戦争中の「徴用」をめぐる問題で、韓国政府が6日に発表した解決策について、韓国では一定の理解を示す声が聞かれた一方、抗議集会を開くなど反発する声も上がりました。ユン・ソンニョル(尹錫悦)政権としては、日本との関係改善に向けた動きを加速して外交成果をアピールすることで、幅広い理解を得たい考えとみられます。
韓国政府は「徴用」をめぐる問題で、2018年に韓国最高裁判所が賠償を命じた日本企業に代わって、韓国政府の傘下にある財団が原告への支払いを行うとする解決策を6日発表しました。
これについて、ユン・ソンニョル政権を支える与党「国民の力」が、「解決に向けた勇気ある第一歩だ」と評価する論評を出したのに加え、原告の遺族からは「どんな形であれ、とにかく早く解決してほしい」として、一定の理解を示す声が聞かれました。
一方で原告の1人は、「物乞いをしてまでお金を受け取るつもりはない」と述べて、財団による支払いを拒否する意向を示したほか、首都ソウル中心部の広場では、解決策に反発した原告側の一部の支援団体が抗議集会を開き、「屈辱的な解決策を撤回せよ」などとシュプレヒコールを上げました。
韓国メディアは、ユン大統領が今月中に日本を訪れて、岸田総理大臣と首脳会談を行い、来月アメリカを訪問したあと、5月にはG7広島サミットにオブザーバーとして参加することを検討していると伝えています。
ユン政権としては、原告などに丁寧に説明する努力を続けるとともに、日韓関係の改善に向けた動きを加速して外交成果をアピールすることで、解決策への幅広い理解を得たい考えとみられます。
-- NHK NEWS WEB