政府は、東日本大震災の被災地の復興に向けて、昨年度・令和3年度までにおよそ31兆5000億円の予算を投入してきました。
現在は「第2期復興・創生期間」と位置づけて、被災者の心のケアや、原発事故の避難指示が解除された地域への帰還、移住に向けた支援などを進めています。
令和4年度から7年度までの4年間にはおよそ1兆4000億円の予算を投じる方針です。
こうした復興予算の財源には、復興増税や政府が保有する株式の売却益などが充てられています。
▽法人税には平成25年度までの2年間、納税額の10%が上乗せされたほか、▽個人住民税は、新年度・令和5年度までの10年間、年間で1000円を増税しています。
▽また所得税の納税額に2.1%を上乗せする「復興特別所得税」は当初、2037年で終わる予定でしたが期限が延長される見通しとなっています。
背景にあるのが防衛費の増額です。
与党の税制調査会は、去年12月、防衛費増額を賄う財源として、「復興特別所得税」の税率を1%引き下げたうえで、課税期間を延長する方針を打ち出しました。
延長する期間は「復興財源の総額を確保するのに必要な期間」としています。
「復興財源の流用だ」といった反発も出ましたが、与党の税制調査会では、「今の所得税の負担を増やすことなく、防衛費増額の財源を賄うための措置であり、復興に必要な予算は確保する」と説明されました。
新年度以降に、改めて、具体的な枠組みを議論することになっています。
一方、復興財源にあてるためにこれまでに行われた政府が保有する株式の売却では、▽日本郵政の株式をおよそ4兆円、▽JT=日本たばこ産業の株式をおよそ1兆円で売却しました。
さらに、▽政府が53%保有する東京メトロの株式についても売却益を復興財源にあてることになっています。
現在、売却時期などについて検討を進めています。
ただ、東京メトロの株式については、国土交通省の審議会が、当面、売却を半分にとどめ現在、計画されている地下鉄の延伸事業などを支えるべきだと提言しています。
-- NHK NEWS WEB