フランスでは、マクロン政権が国民の間で反対が根強い年金制度の改革案を成立させるため、議会での投票を行わずに法案を採択する異例の措置に踏み切りました。これに対して労働組合などが猛反発していて、マクロン政権への逆風が強まりそうです。
フランスのマクロン政権は、財政再建の一環として、年金の支給を開始する年齢を現在の62歳から64歳に引き上げるなどとした改革案の成立を目指しています。
これに対し受け取る年金額が減るなどとして労働組合などは各地でデモやストライキを続けてきました。
こうした中、マクロン政権は16日、改革案を成立させるため議会下院にあたる国民議会で、投票せずに、法案を採択する異例の措置に踏み切りました。
議会では少数与党のため、投票で改革案が否決されるのを避けるためだと見られています。
しかし、労働組合などは猛反発していて、野党勢力は17日、ボルヌ首相の内閣に対する不信任決議案を提出しました。
採決は、来週中にも行われる見通しで可決されれば、改革案は廃案となります。
また、パリ中心部ではデモ隊と警官隊が衝突する事態にもなりました。
パリでは、ゴミの収集にあたる作業員などのストライキも2週間近く続いていて、市役所によりますと、およそ9400トンのゴミが回収されず放置されています。
パリに住む62歳の女性は「街のあちこちにゴミが散乱していて、社会問題というより、健康問題だ」と話していました。
労働組合は今後、大規模なデモも予定していてマクロン政権への逆風が強まりそうです。
-- NHK NEWS WEB