中国当局に今月拘束された大手製薬会社の日本人男性は、中国で長年勤務する経験豊かな駐在員で、異動で日本に帰国する当日に連絡がとれなくなったということです。
日中関係筋は「今後の経済関係などに極めて深刻な影響を与える」と強い懸念を示しています。
中国の首都・北京で今月、50代の日本人男性がスパイ行為などを取り締まる国家安全当局に拘束され、大手製薬会社のアステラス製薬は、拘束されたのは自社の社員であると明らかにしています。
中国外務省の報道官は、27日の記者会見で「スパイ活動に関わり、中国の刑法と反スパイ法に違反した疑いがある」と述べ、男性が当局の取り調べを受けていることを認めました。
関係者によりますと、男性は、通算でおよそ20年中国で勤務する、現地の事情に精通した駐在員だったということです。
異動のため、今月、帰国する予定でしたが、帰国当日、宿泊していたホテルを車で出発したあと、連絡がとれなくなったということです。
中国では2014年に反スパイ法が施行されて以降、日本人がスパイ行為に関わったなどとして当局に拘束されるケースが相次いでいますが、裁判は非公開で、中国側はどのような行為が法律に違反したか明らかにしていません。
日中関係筋は「中国の日本人社会に動揺が広がっている。今後の人的往来、経済関係に極めて深刻な影響を与える」と強い懸念を示しています。
-- NHK NEWS WEB