日銀の黒田前総裁の後任として、経済学者の植田和男氏が9日付けで総裁に就任しました。賃金の上昇を伴った2%の物価安定目標の実現や、10年にわたる大規模な金融緩和に伴う副作用への対応などが課題となります。
元日銀審議委員で、経済学者の植田和男氏は、10年にわたって日銀の総裁を務めた黒田氏の後任として9日付けで新しい総裁に就任しました。
任期は5年で、戦後初の経済学者出身の総裁となります。
植田新総裁は、国会での所信の聴取と質疑で、金融緩和を続けて景気を下支えすることで企業の賃上げの動きを後押しし、2%の安定的な物価上昇を目指す方針を示しています。
物価上昇を背景にことしの春闘では、大企業を中心に賃上げの動きが進みましたが、植田新総裁をはじめとする日銀の新体制は、こうした動きが中小企業も含めてどこまで広がるかや、今後も持続するかを見極めながら物価目標の実現に向けて政策運営にあたることになります。
また、大規模な金融緩和の長期化で市場機能が低下しているといった指摘や、日銀による国債の大量保有などで、今後、金融緩和を縮小する「出口戦略」に踏み切る場合には金融市場が混乱するのではないかという懸念も出ていて、こうした課題にどう対応するかも課題となります。
さらに欧米で金融不安がくすぶる中、金融システムの安定を保つことも求められていて、就任当初から、難しいかじ取りを迫られることになります。
-- NHK NEWS WEB