世界に金融不安を引き起こしたアメリカの銀行「シリコンバレーバンク」の経営破綻から10日で1か月となります。当局が打ち出した異例の対策によって市場はひとまず落ち着きを取り戻していますが、アメリカのほとんどの銀行が債券の含み損を抱えるなど警戒感が拭えない状況が続いています。
アメリカでは先月10日から12日にかけて2つの銀行が相次いで破綻したことをうけて、政府が預金を全額保護する異例の措置を取るとともに、FRB=連邦準備制度理事会は銀行が有利な条件で資金を借りられる新たな枠組みを設けました。
こうした措置の影響もあってニューヨーク株式市場ではダウ平均株価が破綻前の水準を上回るなど市場はひとまず落ち着きを取り戻しています。
一方でほとんどの銀行ではFRBの急速な利上げによって保有する債券の価格が下落し、含み損を抱えていてその額は去年末の時点で6200億ドル、81兆円余りにのぼっています。
また、大規模な金融緩和で資金が流れ込んでいた商業用不動産の価格も下落し、融資している銀行への悪影響が懸念されています。
FRBの幹部は今後、銀行の間で損失が発生するリスクがあり、金融システムが元に戻るには時間がかかるという認識を示しているほか金融市場でも警戒感が拭えない状況が続いています。
-- NHK NEWS WEB