企業が新たに株式を上場するIPO=新規株式公開をめぐり、みずほ証券が「公開価格」のもとになる価格を企業側の主張より低く設定していたことについて、公正取引委員会は、独占禁止法違反につながるおそれがあるとして、「注意」を行ったことを明らかにしました。
企業の新規上場をめぐっては、主導権を持つ証券会社が株式の公開価格を低く設定する傾向があり、投資家は上場後の株価の値上がりで利益を得られる一方、企業は調達できる資金が少なくなるという指摘が出ていました。
公正取引委員会によりますと、みずほ証券は、2020年からおととしにかけて、国内のベンチャー企業の上場を手がけた際、公開価格のもとになる価格を企業側の主張より低く設定するよう要請するなどしていたということです。
上場後についた「初値」は2倍以上になるなど公開価格を大幅に上回ったということで、公正取引委員会は、みずほ証券が企業側と協議を行わずに合理性のない公開価格を設定したとまでは認められないものの、この企業がより多くの資金を調達することを妨げた可能性があるとしています。
上場する企業が公開価格を設定する段階で主幹事の証券会社を変更するのは難しいことから、公正取引委員会は、みずほ証券の行為が独占禁止法で禁じられている「優越的地位の乱用」につながるおそれがあるとして、「注意」を行いました。
みずほ証券は「発行体の適切な資金調達機会の確保、投資家保護、市場の健全かつ持続的な発展のバランスを取った合理的で適正な公開価格設定プロセスとなるよう努めてまいります」とコメントしています。
-- NHK NEWS WEB