ロシアが侵攻するウクライナ東部のバフムトでは、ロシア軍による砲撃や空爆が増加していて、完全掌握に向けて攻撃を強化しているもようです。また、プーチン大統領は、支配地域の前線を相次ぎ訪問していて、ウクライナの大規模な反転攻勢に備えるねらいともみられています。
ウクライナ軍の参謀本部は19日、東部ドネツク州のウクライナ側の拠点バフムトと、州都ドネツクの南西にあるマリインカが激戦地となっていると発表しました。
バフムトについてウクライナ陸軍の司令官は、前日には「敵が最も力を注ぎ、支配しようとしている。砲撃や空爆の回数を増やし、街を廃虚にしようとしている」と指摘しています。
イギリス国防省は、ロシア側がバフムトに戦力をさらに移そうとしているとしたうえで、ロシア軍と民間軍事会社ワグネルの部隊が前進を続け、中心部の主要な鉄道が最前線となっていると分析しています。
こうした中、ロシア大統領府は18日、去年9月に一方的な併合に踏み切った南部ヘルソン州と東部ルハンシク州の支配地域をプーチン大統領が相次いで訪問し、作戦司令部で戦況について報告を受けたと発表しました。
アメリカのシンクタンク「戦争研究所」は、プーチン大統領が訪問で、精鋭の空てい部隊の司令官らを名指しして激励したことなどについて、「今後のウクライナの反転攻勢を見越し、潜在的なスケープゴートを特定することを意図していた可能性も高い」として、ウクライナの反転攻勢に備え、前線の責任を明確化するねらいだと分析しています。
一方、ウクライナの国家安全保障・国防会議のダニロフ書記は、17日のAP通信のインタビューで、大規模な反転攻勢について「準備が整えばすぐにでも開始する。準備不足のまま始めることはない」と述べ、欧米の兵器供与を受けながら反撃への準備を進めていると明らかにしています。
-- NHK NEWS WEB