ロシアでは、5月9日に第2次世界大戦の戦勝記念日が近づく中、ウクライナ東部の激戦地バフムトの完全掌握をねらい攻撃を強めています。一方、バフムトなどで、ロシア側の死傷者はおよそ10万人に上るとの見方が出ています。
ロシアでは5月9日の第2次世界大戦の戦勝記念日が近づく中、ロシア軍は東部ドネツク州の激戦地バフムトの完全掌握にむけて攻撃を強めていて、プーチン政権としては国民に戦果を示したいねらいもあるとみられます。
これに対してウクライナ陸軍のシルスキー司令官は2日、SNSでバフムトを訪問したと明らかにし「われわれは防衛作戦を続け、敵を阻止していく」などと述べ、徹底抗戦するとして兵士を激励しました。
一方、アメリカ ホワイトハウスのカービー戦略広報調整官は1日、バフムトとその周辺におけるロシア側の死傷者は去年12月以降、およそ10万人に上るとの見方を示しました。
このうち2万人以上が死亡し、その半数はロシアの民間軍事会社ワグネルの戦闘員だとしています。
バフムトの戦況について、ワグネルの代表のプリゴジン氏は弾薬不足を重ねて訴え、バフムトからの撤退まで示唆していて、ロシア国防省への不満を表しています。
こうした中、ロシア国防省は4月30日、軍事物資の補給部門を統括する国防次官についてミジンツェフ次官を交代させ、新たにクズメンコフ氏が就任したと明らかにしました。
国防次官の交代について理由などは明らかにされていませんが、イギリス国防省は2日、「ロシア軍が補給問題でいかに苦戦しているかを浮き彫りにしている。攻撃が成功できる十分な弾薬を保有していない」と指摘しました。
そして、弾薬不足の問題がロシア国防省とワグネルの確執も引き起こしているとしたうえで「ロシアの政治指導者は戦場で成果を要求するが、一方で補給部門の担当者たちは板挟みにあっている」として、軍事物資の補給が依然、大きな課題になっていると分析しています。
-- NHK NEWS WEB