アメリカのFRB=連邦準備制度理事会が3日、0.25%の利上げを決めたことや次回会合で利上げを一時停止する可能性を示唆したことについて、ニューヨークの金融の専門家に聞きました。
話を聞いたのは、ニューヨークの「MUFGセキュリティーズアメリカ」で経済全般の戦略部門の責任者を務める、経済アナリストのジョージ・ゴンカルベス氏です。
Q1.
3日のFRBの決定とパウエル議長の記者会見をどのように受け止めたか。
A1.
FRBが発表した声明の変化や記者会見でのパウエル議長の発言をみると、私は利上げサイクルの終わり、あるいは終わりの可能性が高いように感じた。
これまでの非常に積極的な利上げサイクルから、金融引き締めに消極的な結論となった。
Q2.
FRBはこれで利上げを止めるということか。
A2.
私はそう思う。
FRBは、今回の利上げが最後で、もしそうでなくても状況を精査するため長い期間、利上げを一時停止するだろう。
Q3.
パウエル議長は、金融不安よりもインフレを抑え込むことを優先したとの見方もあるが。
A3.
物価上昇率が本当に2%に向けた軌道に乗っているのか、確かなことは分からない。
しかし、現時点で分かっていることは、アメリカで複数の銀行が経営破綻しているということだ。
これは、銀行システム全体に何らかの問題があり、信用収縮が起きる可能性があることを示すもので、FRBはそのことを方程式に織り込んでインフレ懸念とのバランスを取っているのだと思う。
Q4.
金融不安による信用収縮はインフレや経済にどのような影響を及ぼすか。
A4.
理論的には、信用収縮が起きれば銀行はリスクを避けるようになり、中小企業や一部の大企業に対しても、資金供給などを絞り込むことになる。
そうなれば、循環する資金の量が減ることで、経済の下押し圧力になるだろう。
-- NHK NEWS WEB