日銀は、ことし3月に開かれた黒田前総裁にとって最後となる金融政策決定会合の議事要旨を公表しました。
企業の賃上げの動きが持続するかどうかを見極める必要があるなどとして、今の大規模な金融緩和を続けるべきだという意見が相次いだことが分かりました。
日銀が公表した3月の会合の議事要旨によりますと、委員から賃上げの動きが中小企業にも広がっているという見方が示され、「『物価安定の目標』の実現に向けて、よい兆しがみられるなど、環境は変化しつつある」という意見が出されました。
そのうえで、賃上げの動きが持続するかどうかを見極めるため、今の大規模な金融緩和を続けるべきだという意見が相次ぎました。
また、「賃金や物価が上がらないことを前提とした慣行の転換という積年の課題解決の重要性を踏まえると、政策転換が遅れるリスクよりも拙速な政策転換によって目標達成の機会を逃すリスクを重視すべきだ」という意見も出され、会合では、大規模な金融緩和策の維持を全員一致で決めました。
一方、会合では、政府と日銀が10年前に結んだ共同声明についても議論され、「物価目標についての議論を始めると、金融政策運営に関する無用な憶測を招くおそれがある」といった指摘が出るなど、改定の必要はないという意見が相次ぎました。
-- NHK NEWS WEB