ロシア大統領府は、プーチン大統領が、ウクライナ東部の激戦地バフムトを完全に掌握したことを祝福したと発表し、戦果をアピールしました。一方、G7広島サミットに参加しているウクライナのゼレンスキー大統領は、ロシアによるバフムトの掌握を否定しています。
ロシア大統領府は21日、「プーチン大統領がバフムト解放作戦の完了を祝福した」と発表しました。
これに先立ち、ロシア国防省は、ウクライナ東部ドネツク州のバフムトについて、民間軍事会社ワグネルとともに攻撃を続けた末に、完全に掌握したと、SNSで主張していました。
また、ワグネルの代表プリゴジン氏も20日、SNSに動画を投稿して、街の掌握を主張したうえで、今月25日以降に部隊を撤退させて、バフムトの防衛をロシア軍に引き継ぐとしました。
ウクライナのゼレンスキー大統領がG7広島サミットに参加し、反転攻勢に向けて、さらなる支援を求める中、プーチン大統領としては戦果をアピールし、軍事侵攻を続ける姿勢を示すねらいがあるとみられます。
一方、ゼレンスキー大統領は、ロシア側がバフムトを掌握したと発表したことについて、21日午後、記者団に問われ、「そうは思わない」と答えて否定しました。
また、ウクライナ軍の参謀本部は21日、バフムトの戦況について、「敵が攻撃を行っているが、街の戦闘は続いている」と強調しているほか、マリャル国防次官もSNSに、「敵はバフムトの包囲に失敗し、ロシア側は街の周辺で一部を失った。ウクライナ軍の部隊はバフムト郊外で進軍し、敵がバフムトにいることは非常に難しくなっている」と投稿しました。
アメリカのシンクタンク「戦争研究所」は20日、バフムトを掌握したとするロシア側の主張は確認できないとする一方で、「プリゴジン氏はバフムトの勝利を主張したが、事実だとしても象徴的なものにすぎない。戦術的にも作戦的にも重要でない」と指摘しました。
また、反撃するウクライナ軍は、バフムトの北と南でロシア側に圧力をかけていると指摘したうえで、プリゴジン氏が今月25日以降に部隊を撤退させると発表したことについて、「プリゴジン氏がバフムトの西側に部隊を進めて攻撃を継続するつもりがないことを示している」と分析しています。
-- NHK NEWS WEB