日銀の総資産が昨年度末時点で735兆円余りと、過去最大となった前の年度末とほぼ同じ水準になりました。新型コロナの資金繰り支援の終了で貸出金が減少した一方、長期国債の買い入れが膨らんだためで、今後、金融緩和を正常化する「出口戦略」の局面で、資産の縮小の道筋をどうつけていくかが課題となります。
日銀が発表した昨年度の決算によりますと、ことし3月末時点の総資産は735兆1165億円となり、過去最大となった前の年度末からは0.2%の減少と、ほぼ横ばいでした。
これは、新型コロナの影響を受けた企業の資金繰り支援の終了に伴い貸出金が大幅に減少した一方、大規模な金融緩和の一環で、一定の金利水準で長期国債を無制限に買い入れる「指値オペ」を実施するなど資産の買い入れを進めたためです。
短期を除いた国債の残高は、総資産全体の78%にあたる576兆円余りとなりました。
日銀の植田総裁は今月25日、参議院の財政金融委員会で、国債などの買い入れに関連し「必ずしもこれが正常な中央銀行のバランスシートの姿ではないが、しばらく続くのは仕方がない」と述べていて、今後、金融緩和を正常化する「出口戦略」の局面で、金融市場に大きな混乱を招くことなく、資産の縮小の道筋をどうつけていくかが課題となります。
-- NHK NEWS WEB