先端技術の情報を漏えいしたとして逮捕された産業技術総合研究所の中国籍の研究員が、中国政府が海外から優秀な研究者を集める「千人計画」と呼ばれるプロジェクトに参加していたとみられることが、捜査関係者などへの取材で分かりました。警視庁は母国への技術貢献の一環として情報を漏えいした疑いもあるとみて、詳しいいきさつを調べています。
国立研究開発法人 産業技術総合研究所の上級主任研究員で、中国籍の権恒道容疑者(59)は、自身が研究するフッ素化合物に関する先端技術の情報を中国の化学製品の製造会社にメールで送って漏えいしたとして、不正競争防止法違反の疑いで逮捕されました。
捜査関係者によりますと、調べに対し容疑を否認しているということです。
これまでの調べで、権容疑者は科学技術の開発に貢献したとして中国政府から表彰を受けていたことなどが分かっていますが、中国政府が海外から優秀な人材を集める「千人計画」と呼ばれるプロジェクトに参加していたとみられることが、捜査関係者などへの取材で分かりました。
「千人計画」は、中国政府が科学技術の強化を目指して始めたプロジェクトで、集める人材は、外国人研究者のほか、海外で活躍する中国人研究者も含まれ、多額の報酬と引き換えに技術や情報が流出しているとして各国が警戒を強めています。
警視庁は、母国への技術貢献の一環として、日本での研究を通じて得た先端技術の情報を漏えいした疑いもあるとみて詳しいいきさつを調べています。
-- NHK NEWS WEB