領土の奪還を目指すウクライナ軍は、東部や南部の州で反転攻勢を続けています。イギリス国防省は、ウクライナ側に小さな前進がみられるとする一方、ロシア側も撃退しようと攻撃し、双方に多くの死傷者がでていると分析しています。
反転攻勢を進めているウクライナ軍について、戦況を分析するイギリス国防省は18日「最も激しい戦闘は南部ザポリージャ州、東部ドネツク州の西部、ドネツク州のバフムト周辺に集中している。これらすべての地域でウクライナ側に小さな前進がみられる」と指摘しました。
一方、ウクライナ南部ではロシア側が効果的な防衛作戦をたびたび実施し、双方に多くの死傷者が出ていて、特にロシア側の損失は3月のバフムトの戦闘以来、最大となる可能性が高いと分析しています。
こうした中、イギリスの公共放送BBCとロシアの独立系メディア「メディアゾナ」は16日共同の分析を発表し、ロシア軍の兵士の墓地などを現地の協力者と調査し、確認できただけでロシア軍の兵士の死者は2万5000人以上、このうち将校の死者は2100人以上になると明らかにしました。
そして、ここ3か月の戦闘では、刑務所にいた受刑者や、民間軍事会社の戦闘員、動員による兵士の死者が増加し、兵士の高齢化が進み、訓練が不十分だったと分析しています。
一方、アメリカの有力紙、ニューヨーク・タイムズは、ウクライナ南部ヘルソン州でカホウカ水力発電所のダムが決壊し、洪水の被害が拡大したことについて、外部からの攻撃ではなく、ダムを占拠していたロシア側が、内部から爆破した可能性が高いという分析を伝えました。
映像や画像の解析、専門家の分析などを基にした報道で、ダムの決壊は、これまでの戦闘などによる施設への損傷が積み重なったことで起きた事故だった可能性は低く、内部に爆発物が仕掛けられたものだったとしています。
ダムの決壊をめぐっては、ロシア側は、ウクライナ軍の攻撃によるものだとして、非難を続けています。
-- NHK NEWS WEB