商品の原材料や生産工程に関わる人権問題への対応が企業に求められるなか、メーカーだけでなく、さまざまな商品を取り扱うデパートの間でも対応を強化する動きが始まっています。
三越伊勢丹ホールディングスは今月から社内のバイヤーを対象に、およそ2万社にのぼる取引先が人権問題に対応できているかを確認する専門研修を新たに始めました。
研修は、仕入れ先の担当者との商談の場を想定し、人権問題への対応の確認だけでなく、改善を促すための方法について実践的に学びます。
来年度までにおよそ600人のバイヤー全員が順次、研修を受けることにしています。
研修を企画したサステナビリティ推進部の大久保美侑さんは「百貨店の取り引き先は、業種やアイテムも各社が抱える課題やリスクもさまざまなので、まずは対話を続けることが必要だ。われわれが率先して業界全体の取り組みの底上げをしたい」と話していました。
また、大丸松坂屋百貨店は、人権に関する会社の方針を7000社余りの仕入れ先に周知し、定期的にアンケート調査を行っています。
さらに高島屋のほか、阪急阪神百貨店を傘下に持つエイチ・ツー・オー リテイリングは、リスクの特定と予防につながる新たなシステムの準備を進めています。
商品の原材料や生産工程に関わる人権問題への対応では、小売業の取り組みが進んでいないという指摘もあり、こうした動きがさらに広がることが期待されています。
-- NHK NEWS WEB