アメリカの前の駐ロシア大使を務めたサリバン氏が、NHKのインタビューに応じ、ロシアで起きた民間軍事会社ワグネルによる武装反乱について、ロシア軍や治安機関の一部が支持していた可能性を指摘するとともに、プーチン大統領が求心力を失っているとの見方を示しました。
28日、NHKのインタビューに応じたのは、アメリカ国務省の副長官などを歴任し、2019年12月から去年9月まで3年近くにわたって駐ロシア大使を務めたジョン・サリバン氏です。
サリバン氏は、プリゴジン氏が代表を務めるロシアの民間軍事会社ワグネルの部隊が、ロシアの軍や治安機関の抵抗を受けることなく、南部ロストフ州にある軍の司令部の施設を掌握したと見られることについて、「プリゴジン氏がロシアの軍や治安機関から支持を得ていなければ、起こりえないことだ」と述べ、ロシア軍や治安機関の一部が武装反乱を支持していた可能性を指摘しました。
さらに、ウクライナ侵攻を続けるロシア軍の副司令官で、プリゴジン氏と関係が近いとされるスロビキン氏など軍幹部が反乱の計画を事前に把握していたかどうかについて、サリバン氏は「軍の幹部らが事前に知らなければ、抵抗を受けずに軍の施設を掌握したことを説明しづらい」と述べました。
また、サリバン氏は、プリゴジン氏が当局に拘束されることなく、ベラルーシに出国したとみられることについて「プーチン氏はロシアを背後から刺し、『裏切りだ』とまで評しながら取り引きをせざるを得なかった。なぜなら、反乱を鎮圧し、プリゴジン氏を拘束できるだけの強さを持ち合わせていなかったからだ」と述べ、プーチン大統領が求心力を失っているとの見方を示しました。
そのうえで、プーチン大統領が失脚する可能性については「少なくとも現時点では予言しない」としながらも「1週間前に比べれば、その可能性は明らかに高まっている。なぜならば、プリゴジン氏による反乱が、プーチン大統領の弱さをさらけ出したからだ」と述べました。
-- NHK NEWS WEB