ロシアで武装反乱が起き、混乱を見せる中、反転攻勢を続けるウクライナ軍の総司令官は「戦略的な主導権を握っている」として、領土奪還を目指す姿勢を強調しました。
民間軍事会社ワグネルによるロシア国内の武装反乱をめぐっては、隣国ベラルーシに拠点を移した可能性がある代表のプリゴジン氏の動向や、プリゴジン氏に近いとされるロシア軍の最高幹部などの消息に関心が高まっています。
一方、ロシア側が混乱を見せる中、ウクライナは反転攻勢を続けていて、ザルジニー総司令官は29日、SNSでアメリカ軍の制服組トップミリー統合参謀本部議長と電話で会談したとして「われわれが戦略的な主導権を握っている。ウクライナ軍は前進し、敵は抵抗を示すが、多大な損害を被っている」と伝え、領土奪還を目指す姿勢を強調しました。
また、ウクライナ軍の参謀本部は南部ザポリージャ州の主要都市メリトポリやアゾフ海に面した港湾都市ベルジャンシクに向かう方面での作戦で、部分的に成功しているとしています。
一方、ウクライナ国防省の情報総局は30日、ロシア軍が占拠するザポリージャ原子力発電所について「ロシア軍が原発から離れつつある。ロシア国営の原子力企業ロスアトムの従業員3人が最初に離れた」と発表し、ロシア側が原発から離れる動きが出ていると指摘しました。
また、ロスアトムと契約を結んだウクライナ人の従業員に対しても7月5日までに退避するように通告し、施設に残る従業員に対して「緊急事態が発生した場合はウクライナを批判しろ」などの指示が出されたとしています。
ウクライナのゼレンスキー大統領は、6月22日、ザポリージャ原発でロシアがテロを計画していると主張していて、ロシア側の動きに警戒を強めているとみられます。
-- NHK NEWS WEB